私は、読んだことのある小説が映像化された場合、映画より原作のほうが良いと思ってしまう派です。
限られた時間で小説に描かれている細部まで表現することはやっぱり難しいからです。
だから、この『告白』が映画になると聞いて、期待もありましたが不安もありました。
でも、実際に見てみた感想ですが、なかなか良くできていました。
小説は、担任である森口悠子の告白から始まります。
事件の導入部分である重要な場面。
小説ではこの告白だけで1章(50 頁程度)が割かれているので、映画を見る前はここが心配でした。
教室で話をするだけの場面がどうやって映像化されるのか。
しかしそれは全くの杞憂でした。
一見関係のなさそうな話から徐々に核心に迫っていくところ、そして学生を含めた教室の雰囲気などがうまく映像化されていて、映画に引き込まれていきました。
ストーリーは基本的に小説に沿っていますが、主要人物の告白が適度に組み合わさっているのが良かったです。
小説ではそれぞれの告白が1章ずつ割り振られていましたが、映像だとこの映画のような形が分かりやすかったと思います。
めずらしく、映像化された映画に満足しました。
ところで、これだけ話題になった映画ですから、原作を読んでいなくて映画を見に行った方もたくさんいるはず。
そのような方の目にはどのように映ったのかが気になります。
ストーリーが結構飛んだりしているので、意外とわかりにくいんじゃないかと思いまして。
(原作を読んでいると、勝手に頭の中で補完しているのでそれほど違和感はありませんでした)
また、予告から犯人探しのようなストーリーを想像して映画を見たのであれば、予想に反して結構きついシーンとかあったんじゃないかと。
このストーリーは基本「重たい」ですからね…
映画を見てあらためて、小説のストーリーがしっかりしていることを認識しました。
2010 年 6 月 5 日公開