大ヒットした小説の映画版。
タイトルを見ただけではまったく内容が想像できません。
ましてや思いのほか切なくなる話だとは…
ストーリー
クラスメイトである山内桜良(浜辺美波)の秘密を偶然知ってしまった主人公の「僕」(北村匠海)。
彼女は膵臓に病気を抱えていて、長くは生きられなかったのだ。
クラスでも目立たない存在の「僕」と明るく目立つ存在の桜良。
普通に生活していれば決して交わることのなかったであろう2人が1つの秘密でつながり、そこから奇妙な関係が始まった。
桜良の強引さもありながら徐々に打ち解けていく2人。
しかし彼女たちに残された時間は長くはなかった。
それから12年後、「僕」(小栗旬)は教師として母校に戻ってきた。
否が応でも思い出される、あの頃の記憶。
そしてまた、桜良の想いに触れる出来事が起きる。
単純なラブストーリーではなかった
インパクトのあるタイトルもあって当時ヒットしていた小説『君の膵臓をたべたい』の実写版です。
もともとこの類の映画や本にはあまり興味を惹かれません。
若者の恋愛を描いた携帯小説的なものだと思っていて、それは好みではないなと考えていたからです。
流行りものには乗りません、というあまのじゃく的なところもありました。
でも「ラブストーリーとは思ってほしくない」とか「最後が意外だった」という話を耳にして、ちょっと気になって小説を読んでみたのが2年前。
小説は思った以上に良かったです。
しかしそこで満足して、映画は見ていませんでした。
そしてこの度、久々にタイトルを目にして映画を見てみる気になったわけです。
あらためて単純なラブストーリーとは違うなと思いました。
1つの要因は、意外性のある最後がもたらしています。
頭で思い描いていた結末とは違って虚を突かれた感じです。
そこがまた深い意味を持ってきますし、状況を思い浮かべると苦しいほどに切なくなります。
生きること
小説、そして映画の結末は生きることについて考えさせられます。
会いたいと思ったときにその相手がいないと後悔するから会えるときに会っておこう、という話はよくありますが、なかなか実行できないもの。
そうはいっても大丈夫でしょ、と心のどこかで油断しています。
そんなだから、いざそういう場面がやってきたときにやっぱり後悔してしまうのでしょう。
最後のほうで「僕」と桜良のお互いの印象が語られているところがまた良かったです。
自分には良いところがないと思っていても、他の人から見れば良いところはたくさんある。
そしてそれを認めてくれる人もきっといる。
そういうふうに考えることができれば、辛いと思えることも乗り越えて生きていけるのではないでしょうか。
まとめ
桜良と「僕」は不思議な関係です。
だからこその切なさに、涙してしまいました。
小説もお勧めです。
2017年7月28日公開