2008年 公開映画

トリックの鮮やかさとストーリーの切なさの極みを感じる『容疑者Xの献身』

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読んだときに衝撃を受けた『容疑者Xの献身』。

原作が良すぎるだけに、映画化には期待と不安が入り混じります。

はたして映画化は成功したのでしょうか。

ストーリー

お弁当屋さんを営む花岡靖子(松雪泰子)と娘が暮らすアパートに別れた元夫がやってきた。

靖子はろくでもない元夫から逃げ出し、見つからないように暮らしていたのだった。

ついに見つかってしまい、これから執拗につきまとわれることを恐れた靖子は勢い余って元夫を絞殺してしまう。

そこへ物音を聞きつけた隣人の高校教師・石神哲哉(堤真一)がやってくる。

靖子の店でいつも弁当を買っていた石神は事件の隠蔽を図ることにした。

湯川学(福山雅治)の学友である石神は湯川が認めるほどの天才。

その頭脳を駆使したアリバイトリックに警察はまったく糸口を掴めない。

その真相に湯川が気づいたとき、事件の裏側に隠された悲しい想いが浮かび上がる…

 

東野圭吾作品の中でも傑作中の傑作!

東野圭吾さんの原作『容疑者Xの献身』の映画版です。

推理小説を読むときは、あまり深くトリックを考えずに犯人探しもせず、ただただ楽しく読んでいます。

そんな風なので、最後のほうで二転三転する小説には感心させられるばかりです。

その中でも特に『容疑者Xの献身』はものの見事にトリックに引っ掛かりました。

ストーリーの良さも相まって、傑作中の傑作と思っています。

映画を見てあらためて、トリックの鮮やかさとその裏に隠されたあまりにも切ない思いに感服させられました。

 

嘘をつかないこと

警察からどんなに追求されても、決して崩れることのない靖子のアリバイ。

それもそのはずで、彼女は嘘を言っていないのですから。

そこにこの作品のすべてが詰まっていると言っても過言ではありません。

タイトルの「献身」という言葉は本当に秀逸です。

 

小説の映画化

ボリュームの多い小説を決まった時間に収めて映画にすることは難しいです。

それでもこの映画はうまくできているほうだと思いました。

ただ1つ気になることは、石神の役が堤真一さんであること。

小説を読んだときのイメージよりイケメンすぎるのです。

そうでないと映画にならないと言ってしまえばそれまでですが。

 

四色問題

映画の中で石神が取り組んでいた四色問題。

塗り絵のようなパズルで耳にしたことがある方も多いでしょう。

四色定理(よんしょくていり/ししょくていり、英: Four color theorem)とは、厳密ではないが日常的な直感で説明すると「平面上のいかなる地図も、隣接する領域が異なる色になるように塗り分けるには4色あれば十分だ」という定理である。

四色定理-Wikipediaより引用


どんなに複雑そうな地図でも4色で足りると聞くと、「それだけで足りるのか」と意外に思えてきます。

四色問題はきちんと証明されているそうです。

このような問題の証明をどのようにするのか、まったく想像もつきません。

きっと思いも寄らない世界が、数学者の頭の中には広がっているのでしょう。

 

まとめ

出演者の素晴らしい演技で、本を読んだときの想いが呼び起こされました。

そしてあらためて、この作品の傑作ぶりを感じました。

映画から見た方はぜひ本も読んでほしいです。

 

2008年10月4日公開

 

『ガリレオ』シリーズ

2作目『真夏の方程式
3作目『沈黙のパレード