2018年 公開映画

見終わったあとにじっくりタイトルをかみ締めることになる『去年の冬、きみと別れ』

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観た人全員、騙される。

そんなキャッチフレーズにつられて観た映画です。

そして見事に騙されました。

ストーリー

1人の記者・耶雲(岩田剛典)が編集者・小林(北村一輝)に1つの企画を持ち込んだ。

企画の対象は、一年前にモデルの女性を焼死させたとされる天才カメラマンの木原坂(斎藤工)。

火事の中、写真を撮り続けていたという噂があったものの、木原坂は釈放されていた。

そこで真実を暴くため、耶雲は木原坂を徹底的に取材することにした。

しかし徐々に独特な木原坂のペースに巻き込まれ、耶雲は深みにはまっていく。

さらには耶雲の婚約者である松田百合子(山本美月)がいつの間にか木原坂のモデルとして誘われ、囚われてしまう。

嫌な予感がした耶雲が百合子を救い出そうとあがいていた矢先に、再び火災が発生する…

 

ネタバレ禁物の映画

予告を見たとき、あまり好みでない雰囲気の映画だなと思いました。

でも「観た人全員、ダマされる-」というキャッチフレーズには弱く、そこが気になって見てしまいました。

 

思った以上におもしろかったです。

天才特有のいかにも怪しげな雰囲気をもつ木原坂にどんどんのめり込んでいってしまう耶雲。

危険を感じたときにはすでに遅く、耶雲は婚約者を奪われてしまいます。

狂気をはらんだ不気味さが全体に漂っていて、薄気味悪さがよく演出されていました。

そしてキャッチフレーズどおりにだまされました。

この手のキャッチフレーズは期待が膨らみすぎてがっかりさせられることも多いですが、この映画は「なるほど」と思わされる意外性があってよかったです。

 

時系列を振り返ってみるとタイトルの奥深さが心に染みます。

「去年の冬」、そして「きみ」。

映画の序盤と終盤では視点が変わり、そこが意外性をもたらす大きな要因となっていました。

 

原作

この映画には原作となった小説があります。

中村文則さんの『去年の冬、きみと別れ』です。

 

映画を見て原作が気になったので読んでみました。

ふつうは映画より原作のほうが詳しく書いてあるのでそれを期待して。

 

しかし思いのほか難しい内容でした。

大きなストーリーの流れは同じように見えて、結構違うと感じました。

別物というと言い過ぎかもしれませんが、それぐらいの感じです。

映画は原作をだいぶ易しくしてくれています。

そして映画から先に見ているとその流れが頭にあるので、原作を読んでいるとますます混乱します。

原作から読んだ方はこの映画についてどのような感想を持ったのか気になります。

映画しか見ていない方はぜひ原作にもチャレンジしてもらいたいです。

 

まとめ

こちらの作品、映画化は難しいとされていたようです。

あの原作の複雑な内容を、よく咀嚼してうまく映画化されたなという印象を持ちました。

終盤の驚きを味わってもらいたいです。

 

2018年3月10日公開